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名古屋地方裁判所 昭和42年(わ)146号 判決 1967年7月13日

本籍

愛知県西尾市平坂町梨子山八番地

住居

右同所

会社社長兼パチンコ店経営主

松川竹平

大正八年一月一〇日生

右の者に対する昭和四〇年法律第三三号による改正前の所得税法違反被告事件につき、当栽判所は、検察官今井良児出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役八月及び罰金四〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金八、〇〇〇円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この栽判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、丸竹鋳造株式会社の社長をしている傍ら、自己の営業として、昭和三五年三月頃から名古屋市熱田区波寄町にパチンコ遊技店(金山店)を設け、次いで昭和三八年七月頃から安城市今村町下の池にパチンコ遊技店(今村店)を増設して、パチンコ遊技場を経営しているものであるが自己の所得を他人名義に分散し且つ過少に申告して所得税を免れようと企て、

第一  昭和三八年中における自己の総所得金額は、少なくとも別紙第一表記載のとおり、一、四一五万五、八三九円であり、その所得税額は、少なくとも別紙第三表記載のとおり、六二二万九、九四〇円であるのに拘らず、昭和三九年二月二七日前記金山店の所轄熱田税務署において、同店支配人武富孝文を介し、同人名義を以て、同署長に対し、前年中の総所得金額を同店の事業所得に他の所得若干を加えた二八一万三、三〇三円とし、その所得税額が六六万二、八八〇円となる旨、次いで同三九年三月一二日住居地所轄の西尾税務署において同署長に対し、自己名義を以て、前年中の総所得金額を不動産所得と給与所得とを合算した八九万五、〇〇〇円とし、その所得税額が五万八、五五〇円となる旨、更に同月(三九年三月)一六日前記今村店の所轄碧南税務署において、同店支配人柴田昇を介し、同人名義を以て、同署長に対し、前年中の総所得金額を開店の事業所得である八〇万八、〇〇〇円とし、その所得税額が四万五、六〇〇円となる旨、それぞれ虚偽の記載をした所得税確定申告書を提出し、これにより、以上の各申告分を合算しても、その総所得金額において、正規のものの約三分の一、その所得税額において、正規のものの約八分の一に過ぎない過少申告をなし、以て偽りの不正行為により、正規の所得税額から、各申告所得額の合算額を控除した残額以下である五四三万五、五六〇円の所得税を免れ

第二  昭和三九年中における自己の総所得金額は、別紙第二表記載のとおり、一、五六〇万四、八六四円であり、その所得税額は、別紙第四表記載のとおり、六九九万四、三七〇円であるのに拘らず、昭和四〇年二月二四日前記西尾税務署において、同署長に対し、自己名義を以て、前年中の総所得金額を不動産所得と給与所得とを合算した一五八万九、三一二円とし、その所得税額が二〇万九、一四〇円となる旨、次いで同四〇年三月三日前記熱田税務署において、前記金山店支配人武富章文を介し、同人名義を以て、同署長に対し、前年中の総所得金額を同店の事業所得に他の所得若干を加えた三五七万七、七九九円とし、その所得額税が九五万五、五〇〇円となる旨、更に同月(四〇年三月)一〇日前記碧南税務署において、前記今村店支配人柴田昇を介し、同人名義を以て、同署長に対し、前年中の総所得金額を同店の事業所得から一時所得の損失を控除した残額一三八万五、〇〇〇円とし、その所得税額が一五万五、五〇〇円となる旨、それぞれ虚偽の記載をした所得税確定申告書を提出し、これにより、以上の各申告分を合算しても、その総所得金額において、正規のものの約二・四分の一、その所得税額において、正規のものの約五・三分の一弱に過ぎない過少申告をなし、以て偽りの不正行為により、正規の所得税額から、各申告所得税額の合算額を控除した残額五六七万四、二三〇円の所得額を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する各供述調書(記録七五二丁以下)(以下単に最初の丁数のみを示す)

一、大蔵事務官の被告人に対する各質問てん末書(四八七丁)

一、笠松賢一、柴田昇、松川千代子及び武富孝文の検察官に対する各供述調書(四一四丁)

一、大蔵事務官の阿川忠夫、柴田昇、笠松賢一、武富孝文及び松川千代子に対する各質問てん末書(八九丁、三〇六丁、三七四丁)

一、大蔵事務官作成の各証明書(三五七丁、三五九丁、三六七丁、三七〇丁、三七二丁)

一、大蔵事務官作成の脱税計算書説明資料(八一三丁)

一、大蔵事務官作成の各脱税額計算書(四三七丁)

一、別紙第一、二表各所得額計算書中、主な証拠欄記載の各証拠

一、別紙第三、四表各脱税額等計算書中、根拠欄記載の各証拠

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも昭和四〇年法律第三三号附則第三五条により、同法による改正前の所得額法第六九条第一項第二六条第三項第三号に該当するので、所定刑中懲役と罰金との併科刑を選択し、以上の各罪は刑法第四五条前段の併合罪なので、懲役刑については同法第四七条、第一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に決定の加重をし、罰金刑については同法第四八条第二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役八月及び罰金四〇〇万円に処し、右の罰金を完納することができないときは、同法第一八条により金八、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、なお情状により同法第二五条第一項を適用してこの栽判の確定した日から三年間右の懲役刑の執行を猶予する。

以上の理由により、主文のとおり判決する。

(栽判長栽判官 堀端弘士 栽判官 松島茂敏 栽判官 上田誠治)

第一表、昭和三八年度所得額計算書

<省略>

第二表、昭和三九年度所得額計算書

<省略>

第三表、昭和三八年度脱税額等計算書

<省略>

以上

第四表、昭和三九年度脱税額等計算書

<省略>

以上

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